七ぶらシネマ 第3回
近く公開される「スペース・ジャム」では、アメリカ・プロバス
ケットのスーパースター、マイケル・ジョーダンがバッグス・バニー
と共演している。バッグスはワーナーの漫画映画の主人公。現実の
人間とアニメーションとの合成が最大の売り物だが、困ったことに、
こうした作品が登場するたびに、新しい試みのごとく宣伝される。
何年か前に「ロジャーラビット」が公開された時も、この技術が
前面に打ち出されていたが、「ロジャー−」の本当の目玉は、ハリ
ウッド各社のキャラクターたちが、入り乱れて競演したこと。ディ
ズニーで一番の目立ちたりがり屋ドナルド・ダックと、自己顕示に
かけては、そのドナルドさえも足元に及ばないワーナーのダフィー・
ダックが共に踊ることにあった。それに加えてアニメ史上最高のヒ
ロイン、ベティちゃんやMGMのさえないチビ犬ドルーピー等々。
さしずめシュワルツェネッガーとスタローンの対決の回りで、ス
ティーブン・セガールとジャッキー・チェンがウロチョロしている
図である。
この「ロジャーー」からさかのぼること三十年前にはだれもが
知っている「メリー・ポピンズ」。この時には、それこそ驚異の技
術と大いに宣伝されたことを覚えているが、実は、その前年に「秘
密兵器リンペット」という大人の味を持った佳品が作られ、ひっそ
りと公開されていた。さらに以前では「南部の唄」。この時も騒が
れたらしい。らしいというのは筆者が生まれたばかりの頃のことだ
から。
「ロジャーラビット」(製作のタッチストーンはディズニーの別会社)
「メリー・ポピンズ」「南部の唄」を作ったディズニーにしてから、
その最初の成功した作品は、ミッキー以前の、実写の女の子とアニメ
の合成による「アリス」シリーズだった。
実写とアニメ合成の試みは、映画の歴史の最初期から行われていて、
当初は切り抜いた写真を絵の上に張り付けることもしていたが、一九
一〇年代にはフィルム上での合成が成立している。この時代の合成を
使った作品は、今見てもすこぶる素敵で、合成の技術自体もほぼ完成
の域に達しているといっても良い。
実写とアニメの合成に限らず、特殊効果のほとんどのもののアイデ
アは、この当時に考え出されている。見たこともない映像を作り出す
のが映画人の持ち続けた夢であり、それを見たいがためにわれわれも
映画館に出掛ける。
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