七ぶらシネマ 第5回

アクション派ジナ・デイビス/女手1つで大作背負う

世に四大アクションスターなる呼び名があるという。それはアーノルド・ シュワルツェネッガー、シルベスター・スタローン、スティーブン・セガー ル、ジャン・クロード・バン・ダムのこと。確かに、彼らの腕力はもの凄く、 射ったピストルの玉の行方も神がかり的に正確である。「トゥルーライズ」 の開幕の襲撃で、向ってくる猛犬を素手でぶっ飛ばしてしまう図など、シュ ワちゃんだからこそ、かろうじてマンガになる一歩手前で絵になる光景とい える。 今ここに、ぜひとも五人目として名前を連ねてほしいと思う人が現れた。 男性ではなく女性で、その名前はジーナ・デイビス。「テルマ&ルイーズ」 では、前半でこそ、大姐御スーザン・サランドンの前でしおらしくしていた ものの、後半では圧倒的な存在感を示し、アクション派の片りんをのぞかせ ていた。そして、夫であるレニー・ハ−リン監督の二作品「カットスロート・ アイランド」「ロング・キス・グッドナイト」。超大作アクションを女手ひ とつで背負ってみせた。特に、現在公開中の「ロングー」では、アイススケ ートを駆っての射撃シーン、電飾を施されたケーブルにつかまって奮闘する シーンなど、個々に取り上げるなら、特筆すべきアクションを体を張って提 示している。 とはいっても、夫君の二作の評判が芳しくない最大の原因は、彼女が主演 したことにある。物語の前半で、女だてらになぜ強いのかをダラダラと説明 し、アクション映画に何より必要な快いリズム感を、すっかり壊しているか らだ。同じハーリンの「クリフハンガー」が、冒頭に話を進めるために、申 し訳程度に宙吊りシーン(しかも、これが名場面になった)を見せ、あとは ひたすらアクションに励んだのとは好対象である。 強すぎる女性の存在に対し説明が必要ということは、表面上は女性解放が 進んでいるかに見えるハリウッドでも、まだまだ男性至上主義的思考が根を 張っていることの反映と言わざるをえない。(なんのことはない、そんなこ とを書いている本文でも、女手、夫君、女だてらといった単語を挟んでしまっ ている)。この見えない壁の存在は大きく、「エイリアン」シリーズで頑張っ たシガニー・ウィーバーも、「コピーキャット」では女性ならではの被害者 の役に甘んじている。 デイビスには、いつか純粋にアクションだけに徹した活躍を見せてほしい と願っている。
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