七ぶらシネマ 第7回
時宣を得た「ザ・エージェント」/原題然とした邦題には異議
トム・クルーズの新作の題名「ザ・エージェント」とは、 プロスポーツ選手の代理人のこと。 マイケル・ジョーダンがスーパースターの中でも図抜けた 位置にいられるのは、代理人のスゴ腕のおかげだという評判 だし、ゴルフのタイガー・ウッズが、プロデビュー以前にス ポーツ用具メーカーと何十億円もの契約ができたのも、同じ。 わが国でも、伊良部投手の行動の後ろに代理人の影が見え隠 れし、スポーツ新聞紙上では、その代理人に関しての賛否両 論が闘わされている。まことに時宣を得た映画である。 クルーズと、この作品で今年のアカデミー助演男優賞受賞 のキューバ・グッディング・ジュニアとの演技のアンサンブ ルが見事なうえに、全体としてもウエルメイドな作品に仕上 がっているが、何と言っても、誰もが興味津々の新しい職業 に対しての、のぞき見的趣味を満足させてくれることが、こ の作品の最大のポイント。その意味で「ザ・エージェント」 という題名は、当を得ているといえるのだが、その半面で、 大変困った問題も抱えている。 外国映画の邦題でのカタカナの氾濫に文句付けるのは、今 さらの気もするが、「インデペンデンス・デイ」やクルーズ の前作「ミッション:インポッシブル」など、慣れるまでは 舌をかみそうで大ヒット狙いの宣伝をしていても、はなから 特定の層だけを対象としているとしか思えなかった。それで も、これらは原題をカタカナに置き換えているだけで罪は少 ない。 「ザ・エージェント」は、ご丁寧に“ザ”がついているので、 原題の片仮名読みとしか思えないが、実は日本で独自に付け られたタイトル。 原題はクルーズ演ずる主人公の名前で、片仮名書けば、ジェ リー・マクガイヤ。確かに「コロンボ」や「ランボー」のよ うな親しみは持てそうにもないが、だからといって主人公の 職業の英語にザをくっつけ(しかも、本作品の場合、ジにし ないと英語の先生に怒られるぞ!)、それを邦題とするのも 考えものだ。 特に、最近はインターネットを使って調べものをすること が多いので、この原題然とした邦題というのは、混乱をきた す元となり、たいへん困る。もっと困ったケースは、原題と は異なる意味を持つ邦題を作り、その脇に、邦題の英訳を原 題のごとく並べていた作品。さて、何というアニメ映画でしょ う?
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