7ぶらシネマ 第13回
最近、大学生と話をしていて解ったのだが、東映の波、松竹の富士山、 といっても、彼らには何の感慨もわかないらしい。東映の波って何です か、と聞き返す者さえいて、知っているだけでも、よしとすべきである。 これは、単に、彼らがあまり映画を見ないことだけが原因ではないよ うだ。かつての、製作会社が自ら配給・公開をするという体制だった時 は、最初に出てくる映画会社のマークはひとつだけ。いやがうえでも目 立ったが、今は、複雑な製作・配給体制を反映して、いくつものマーク が出てくる。しかも、彼らが映画に接するだろう機会の多くがビデオで あり、その場合には、さらにビデオ会社のマークもくっつく。 これがハリウッドの映画になると、もっと複雑になるケースが多い。 まず、アメリカ国内での製作と配給の会社、それに加えて、日本国内で の配給会社。それらが、おのおの複数だったりする。さらに、それが各 種のデジタル・ステレオを使用しての公開となると、そのステレオ・シ ステム会社のマークも加わって、マークの5つや6つは当たり前、とい う状態になる。 特に、ドルビー社のマークなどは、重低音を響き渡らせて蒸気機関車 が浮き出てくる立派なもので、続いて出てくる製作会社のマークの多く のものが、チャチなものに見えてしまう。 そんな状況の中だからこそ、映画の始まりを知らせ、我々の期待を膨 らませてくれる役を担っていた映画会社のマークに、もっと、もっと気 をつけていてほしいと願う。 MGMのライオン、レオ君は、黒白作品だと三回ほえるが、カラーで は二回。 二十世紀フォックスのファンファーレは、シネマスコープだと、エク ステンションがついて、より壮大に響いていたが、大きく回り込むリニ ューアルされたマークでは、シネスコでなくても、エクステンションが 付き、区別がなくなってしまった。 スペースさえ許せば、延々と書き連ねたいほどに映画会社のマークに 思い入れを持つ者としては、ほとんど完璧と考える作品「2001年宇 宙の旅」の唯一の欠点は、デザイン化され、円の中に押し込められたレ オ君の一枚の絵で始まること。当然、ほえはしない。 筆者自家製の「2001」のビデオテープは、二度ほえるレオ君に続 いて、「ツァラツストラはかく語りき」が荘厳に始まる。 (注)というのは新聞記事用の嘘。そんな改変は致しません。ただし、 新しいサントラCDに入っている前奏曲<リゲティのアトモスフォー ル>を流してから、おもむろにLDを見始めるのです。 (更なる注)このたび、前奏曲と間奏曲が収録されたLDが発売された。 CDをかける手間が省けたわけだが、「2001」って、何度買った らいいんでしょうか。サントラだって、LPの時代から何度買ったこ とやら。そのうえ、The making of Kubrick's 2001 の翻訳が出て、 これも買いました。
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