七ぶらシネマ 第14回
「ジュラシック・パーク」が公開された前の年の十二月、ロサンゼルス のワーナー・ブラザース・スタジオを訪れた。広大なオープンセットを 通り抜け、しばし歩くと森の中に入り、そこにくぼみがあった。 案内をしてくれていた人は、「しばらく前、ここに水を張って、スピ ルバーグが恐竜を生き返らせた」と。人工の小さな森ではあっても、撮 影のしかたによっては、確かに熱帯のジャングルにもなる雰囲気を感じ させる場所だった。 実物大か、それに近い大きさの恐竜を作り、この池の端で操作すれば、 充分に絵になると思ったが、「ジュラシック・パーク」に出てきた恐竜 のほとんどはCG(コンピュータ・グラフィクス)を使って造形された ものだった。が、このCGの使用は正解だった。 ハリボテだと動きが制限され、それまで映画での恐竜といえば、重々 しいイメージしかなかったが、ここでは、疾走する恐竜、という新たな イメージの形成に成功していた。 それから四年、「ロスト・ワールド」が登場した。このワールドカッ プ一回分という歳月は、CGにとっては充分すぎるほど長い期間で、そ の間に長足の進歩をとげている。 前作での画面上の人間と恐竜の位置関係は、即かず離れずのものだっ た。恐竜が人間を食いちぎるシーンはなかったが、それが決して残酷さ に遠慮した結果でないことは、今度の作品を見れば明らか。当時は、恐 竜と人間とが直接にかかわりあう映像作りには困難が伴っていて、そこ で、苦肉の策として恐竜が恐竜を倒すことで結末をむかえていたのだ。 「ロスト・ワールド」では、恐竜と人間が入り乱れて対じする、といっ ても、たいていは人間が一方的に襲われる側。前回に引続き、恐竜たち は強大で、かつすばしこい。最後は、日本の怪獣映画のノリである。 そんな中、人間の側が仕掛ける数少ないシーンのひとつに、思わず手 をたたきたくなるものがあった。捕獲のための縄式の道具を持った男を 先頭に乗せたジープが、草原を逃げ回る恐竜たちを追いかけるシーンで ある。この先頭の男がジョン・ウェインだったら、それはまさにハワー ド・ホークスの快作「ハタリ!」でのサイ狩りのシーンそのものである。 やはり、スピルバーグはハリウッドの子だった、と改めて納得をした。 文芸作品も悪くはないが、彼には、アドベンチャー大作が、なにより似 つかわしい。
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