7ぶらシネマ 第22回
このところアニメーションがらみの話題が続いているが、もうひとつ、
ディズニーの「ヘラクレス」を話題とした時に少々触れたテックス・ア
ヴェリーについて書ておきたい。
彼は一九三十年代ワーナーの、四十年代初頭から五十年代半ばまでは
MGMの漫画映画の監督だった人物で、その作品は破天荒なギャグのつ
るべ打ち。八〇年に亡くなっているが、近年に至るほどに評価が上がっ
てきている。
CG(コンピューター・グラフィックス)系や特殊撮影系の人の中に
も信奉者が多く、彼の漫画映画を最新のCGを使って丸ごとリメイクし
てしまった人がいるし、「マスク」では、型破りな映像ということでは
決してひけをとらないはずのチャールズ・ラッセル監督が、アヴェリー
風表現に走る特撮マンたちを必死になって押さえる方に回ったとのこと。
なぜか本国よりフランスで有名で、フランスでは百科事典の見出し語
にさえなっている(日米では、映画事典でも怪しい状況である)。最初
に彼を「発見」したのもフランス人で、六十年代、広告界に転じた彼を
追跡した結果として、アニメ史の本に彼の顔写真としてクロード・レイ
ンズ演じる「透明人間」のものが使われた。という訳で、長らく謎の人
物だったが、数々の努力の結果フランスの評論家がインタビューに成功
し、筆者もここに掲げた絵を含む手紙をもらうことができた。
で、この絵をインターネット上で公開している筆者の元には、世界中
から、ウラヤマシイという電子メールが、時を置かずに届いている。彼
についてのホームページも、このところ飛躍的に増加している。
かつて静岡で、この彼の作品の、一挙、二五本立て上映が行われてい
るのだ。略称「しあにむ」、正式名称「静岡アニメーション・サークル」
は、研究会報などを出していたが、メインの活動は映画館ルートでは見
ることが困難なアニメーション作品の上映会を行うこと。筆者も関わり
を持っていて、もう少しで三十年を迎えるところである。
上映会の直前には、本紙では欠かさずに紹介記事を書いて頂いていた。
で、本紙の注意深い読者でアニメに興味があり、なおかつ面倒がらずに
出かけてくれた人なら、アニメ史で言及される重要な作品の過半は見た
ことになる、と自負しうる質量を伴った上映をしてきたつもりである。
このところの活動は低調で、最新の上映会は二年ほど前、創立二十五
周年を記念してのものだが、よってアヴェリーの作品の二五本立てとな
った次第。マニアックに過ぎたようで、少ない観客のほとんどは顔見知
りだし、しかも半分以上は県外からの知人だった。当然、収支は大赤字
でも、二五本全部をを見終わったあとは、こよなく幸せだった。
それは筆者だけではなく、居合わせた全員が感じたことだと信じてい
る。次は、三十周年記念の三十本立て!? 是非、見に来てください。
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