七ぶらシネマ 第23回
アマゾンを舞台とした大蛇版「ジョーズ」というべき新作「アナコン
ダ」は娯楽作品として申し分のない出来上りを示している。
出処進退が明確な主人公たちの中に、前作の「ミッション・インポッ
シブル」でリーダーの《フィリップス君》を演じたジョン・ボイドが、
得体の知れない人物としてまぎれ込むことによって物語が動き出す。
ボイドの、テレビドラマでよく見かける、わめきちらすような演じ方
とは対極にある押えに押えた演技は、すこぶる凄味が効きていて、それ
自体、特質すべきものだが、前作での役割を考えると、さらに凄味が増
す(という曖昧な書き方も、毎週「スパイ大作戦」を見、そして映画館
で「ミッション・インポッシブル」を見た人には理解して頂けると思う)。
タイプキャストの典型だが、だからこそ効果満点の結果を得ている。
タイプキャストはボイド以外も同じで、いかにもアナコンダに襲われ
そうな人物から順に餌食となっていく。それでも、ヒーローとなるべき
人物が早々に退場してしまい、ヒロイン主導の作品となると思いきや、
アクションを受け持つのは、もっぱら人気歌手でもあるアイス・キュー
ブと、最近の映画ではよくあるパターン。ボイドの存在が、より際だつ
ことになる。
何よりも、出るぞ出るぞとしながらも、観客に、なかなかアナコンダ
の姿を見せないことが好ましい。スタッフがパナコンダと命名していた
という小型ボートを使った水面スレスレの地点からの、アナコンダの視
線による撮影が効果を出している。 日本の怪獣映画を引き合いに出す
までもなく、最近は早々にモンスターを登場させ、あの手この手の特殊
撮影を使ってモンスターが、いかに凄いものかを描こうとするが、大抵
はエンディングを迎える前に息切れしてしまうケースが多く、以降は人
間模様だけの映画になってしまう。
この作品では、やっと出てきたアナコンダだが、以降はアナコンダが
主役。人間たちの知恵もアナコンダにはかなわない。しかも、ほとんど
の人が嫌悪感を持つだろうヘビとしてのアナコンダの造形を、そうなら
ないように配慮していて、決して恐ろしい姿形で主役となっているわけ
でもないことが、素晴らしい。
最近ではピカ一の恐い作品となっており、それが、たかがアニメやア
クションで平気で二時間を越える作品を作ってしまう風潮の中、一時間
二十九分という長さで収めてしまっているのが、娯楽作品として、何よ
り好ましい。
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