Around the World(朝日新聞2000年7月6日、夕刊13ページ)

長編アニメ、日米競合の時代へ


アヌシー国際アニメーション映画祭が、 六月十日までの六日間、フランスのアヌシーで 今年も開催された。短編作品のコンペティション を主体行事とするこの種の映画祭では、他を 圧しての世界最大規模を誇っているし、その 基本方針も堅持されていたが、一方で潮流の 変化もかいま見せていた。

コンペでは、今年のアカデミー賞短編アニメ部門 受賞作であるアレクサンドル・ペトロフの「老人 と海」が文句なしのグランプリで、観客賞も 併せて受賞した。手作りの極致というべき作品 だが、コンペ全般を通じては、CGを使った 作品が、昨年まで以上に目についた。

この「老人と海」、カナダ、日本、ロシアの 合作ということで思わぬところで日本の登場だが、 日本勢が認識されたのは長編作品でであった。 長編のコンペに出された「少女革命ウテナ アドウレンス黙示録」と、特別上映で「ホーホケキョ となりの山田くん」「スプリガン」。どれも 上映前の注目度は尋常ではなかった。

日本勢以上に目立ったのが米国勢で、ウオルトの おいっ子のロイ・ディズニーが大会名誉会長の名を 引っさげて「ファンタジア」と「ファンタジア2000」を 持って登場、二十世紀フォックスは注目のSF大作 「タイタンA.E.」を持ち込み、観客の圧倒的な支持を 得ていた。

今年がこの映画祭の四十年目、さらには世紀の 変わり目ということで、全十二プログラムからなる 大回顧上映が行われたが、こちらは観客の数が多いとは いえなかった。CGの台頭ぶり、日米長編の競合の 注目のされ方と比べると寂しい限りで、この回顧上映が、 これまでこの映画祭を支えてきた芸術的短編への レクイエムとなってしまうのではないか、そんな 不安さえ感じた。


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